企業で研修を受けている際に「会話力と対話力は違う」や、「対話力を養うことで建設的な解決策が生まれる」など、対話力に関する重要性を説かれたことはありませんか?
今回はビジネスにおける対話力の重要性と、会話力が別物である理由を詳しく解説しています。
対話力を磨きたいけどどうしたら良いのかわからない!や、対話力と会話力の違いがわからない!という方は必見ですよ!
【身に着ける重要性】なぜ対話力がビジネス上で重要なのか
「働く」ということは、少なくとも一人でできることではなく、多くの人が関わっています。企業であれば経営者の下に多くの社員が所属していて、それぞれ「考え」も変わってくるものです。
近年企業において「弊社には戦略がなく、現場の声が届けられない」ということや、「上司に意見を話しても、理解してもらえない」という声が上がります。
本当に現場の声が届けられないのでしょうか。
または、上司は理解してくれないのはなぜでしょうか。
言葉遣い、状況説明などは正確ではいても、それが果たして「意見」になっているか、「会話」になってしまっているかの判断が出来ますか?
これらの、一人ひとりの「考え」や「意見」を伝えるという点において、会話力ではなく、問題解決のための対話力が必要になるのです。
コミュ力が高いと対話力が高いは違う?
会話と対話の違いは、次の通りです。
会話の場合は、人数を問わず「信頼関係を築く」ために話をする場ですが、対話の場合は2人で、お互いにしっかり向かい合った相互理解の場という違いがあります。
もし今、職場を変えたいと考えているなら、会話ではなく、対話としてコミュニケーションをとる場を作ってみませんか?
対話力を磨くことで成長できることは3つ
コロナ下の影響により、私たちはリモートワークで業務にあたることが多くなりましたね。
リモートワーク、在宅によって仕事をすることで、出勤時間も仕事ができるので、人によっては仕事のペースが上がった方や、仕事のモチベーションが上がったという方も多いのですが、一部の人の間では「コミュニケーションがないのでつまらない」という方もいるようです。
そこでおすすめなのが対話力を磨くことです。
コロナにより、仕事のモチベーションが上がらなくなってしまった方や、今までの自分とはひと味違う自分から、業務に対する個人成績を上げたいという方は、対話力を磨いてみませんか?
①自己の客観性と自己表現力の向上につながる
対話力は、自分自身の客観性と自己表現力の成長を促すのに最適です。
自分自身を客観的にみるということは、冷静な自分自身を保ということだけでなく、感情を抜いて、現状の問題点を話すことが出来るということです。
つまり、自分自身を落ち着かせることができるため、緊張して話すことなく、企業にとって必要である解決策を導き出すことができるということでもあります。
とはいえ、「対話力を磨くためにいきなり客観的に説明をしてください」といわれても難しいですよね。
そういうときは、自分自身の感情と向き合うことから始めると良いでしょう。
②共感力と聞く力の向上につながる
対話力を磨くことによって、相手の伝えたいことを傾聴できるようになるので、聞くというスキルが向上します。
「聞く」ということは、ただ流れてくる音楽や広告をそのまま聞き流すということではなく、受け止めて理解し、問題解決をするために必要なことを考えられるということです。
これらの行動は、次の流れで「一連」の行動となり、スキルの向上が見込まれます。
つまり、「聞く」ということは相手の主張から共感できるところを探し出すことになるので、問題解決のために必要な行動を思いつくことができるということでもあるのです。
共感力を養いたいという場合にも対話力を磨くことが適しているといえるでしょう。
③企業の成長につながる
対話力を磨くことによって、各々の問題を解決するために行動に移せるようになるので自然と企業の成長につながることがあげられます。
人材研修の中で「対話力を磨く」という項目をあげている企業に共通できることは「お互いの現場を客観視できていない」ということであり、企業の成長を妨げていることにもつながるのです。
つまり、ここで相手の言葉を尊重して対話をするという行為ができるようになれば、対話は成り立ち、共感性も磨かれるだけでなく企業としてのあり方を考えることもできるようになるので、企業そのものの成長につながるのです。
前回解説した心理的安全性を高めた現場では対話力を磨くことが出来ます。逆にいえば、心理的安全性を高めることが出来ない現場では、相手を尊重することができず、「そんなことは出来ない」と否定してしまうため、企業の成長にも結びつかないでしょう。
対話力を磨くということは、心理的安全性を高められる現場ということでもあるのです。
前回の記事はこちらから
対話力を磨くなら必要になることは4つ
一人の社員である前に、「ひとりの人間」として、生きていく上で大いに役立つ対話力を磨きましょう。
必要になることは次の4つです。
準備:お互いの対話のために注意力や傾聴力を養おう
対話力は「問題解決をするための意見交換」にもなり得ますが、この問題解決をするために必要な最初の段階が、注意力と精神力を養うことなのです。
問題を解決するために、今解決すべき問題が何たるかを正確に理解するために、問題を明確にする準備や、上司に正確に伝える準備が必要であり、上司や対話の相手になる方には、相手の言葉に耳を傾けるための傾聴力を養うことが重要となります。
傾聴力とは、相手の話を熱心に聞くスキルであり、元は心理学のカウンセリングに活用されているスキルです。いわばテクニックともいえるでしょう。
対話している相手の伝えたい意見を引き出し、理解速度を上げることによって、「問題解決につながる」行動を起こせることになりますね。
観察:相手に向き合い、意見を尊重すること
対話力を磨くなら、相手に向き合い、相手の意見を尊重することは忘れてはいけません。
対話力は、対話をすることにより、仕事が前に進む状況を作れるスキルでもあります。つまり、「相手の尊重」が出来なければ、仕事は前にも進まず、いわゆる「問題解決のための行動展開」にも発展することが出来ません。
とはいえ、人によって企業に対して思っていることやポジションは変わってくるので、誰彼構わず全ての人の意見を尊重することは難しいと考えることもあるでしょう。
そういったときには、一度「相手がどんなことに対して問題を訴えていて声をあげたのか」を考えてみることをおすすめします。
解釈・解読:気持ちの余裕を持ち、発言者の背景を捉えること
対話をする、会話をするというときに必要になるのは自分自身の「気持ちの余裕」です。
余裕がなければ相手へ聞くということも出来ませんし、こちらから相手に対話を持ちかけることも出来ず、なぜ「そういった意見を出すことになったのか」という言葉の背景を捉えることも難しいでしょう。
例えばあなたよりも社員歴が浅く、ついこの間入ってきて仕事もあまり覚えられていないという方が、全体の業務のうちのひとつに対して「これはおかしい」と声をあげたらどうでしょうか。
気持ちに余裕があれば「どこがおかしいと思うのか」と耳を傾けることは出来ることは考えられますが、多くの場合は「仕事が覚えられていないからそんなことを言い出すんだ」と答えてしまいませんか?
私たちは人であり、それぞれ個性や特徴を持ちます。仕事を覚える方法もさまざまで、変わってきますが、その覚えることの遅さにこちらが「焦ってしまう」ことは、対話も何も生み出せない状態になってしまい、いわゆる社員が育つ環境から遠くなってしまうのです。
対話力を磨きたいのにそうなってしまっては元も子もないですよね。
気持ちに余裕を持つことによって、視野も広くなり、企業の問題点にも気づくことだけでなく、周りとの人間関係も築くことができるので、安心して働き、自分自身の成長を促し、いずれは企業の成長にもつながるような環境を作り上げることができるでしょう。
介入:相手に対して、親愛を持って接すること
気持ちに余裕を持つことや、尊重することだけでなく相手に対して親愛を持って接することも必要です。
既述にもあるように気持ちに余裕がないと、「そんなはずはない」と意見を否定してしまい、企業の成長や意見をもっていた社員の成長を止めてしまうだけでなく、現場の空気も悪くなってしまい、今後の意見を対話する環境ができなくなってしまいますよね。
そこで、真向から否定するだけでなく、とりあえず聞いてみて、調整をするという介入を行うのです。調整を行うことにより、対話相手は安心してあなたに持っていた意見や問題点を話し、お互いに相互理解を得られるようになるのです。
まとめ|難しく考えず会話と対話のモードを切り替えよう
対話力と会話力、そしてコミュニケーションと私たちの世の中にはあらゆる話術が存在します。
「対話ができるようになりたい!」
「後輩の言葉に耳を傾けられるようになりたい」
「企業の成長を図りたい!」
などさまざまなこれらの希望は、対話力を培うことによって得られる願いでもあるのです。
対話力を鍛えて、世の中で働く一人の人間として自分自身の感覚を仕事で生かしませんか?
まずは難しく考えずに、「信頼関係を築く会話」としての話し方と「問題点を突く相互理解のための対話」で、モードを切り替えてみましょう。