「ゲシュタルト組織開発」という用語を聞いたり見たりした経験、ありますか?

「ゲシュタルト」という言葉は今の仕事とは関係なくても、心理テスト等で聞いたことがある方もいらっしゃいます。それでも、そこから企業や団体の組織開発に関係があるという印象を抱いた経験がある方は少ないのではないでしょうか。

ゲシュタルト組織開発は英語の“organization development”の頭文字から「ゲシュタルトOD」と略されて表記されることもよくあります。このゲシュタルト組織開発は2000年代に入ってすぐにアメリカで誕生したのですが、それでも今日の日本ではほとんど浸透していない状態です。

ここではこのゲシュタルト組織開発について、基本的な用語から専門のコンサルタントの存在まで順を追って説明していきます。

ゲシュタルトとは?

最初にこの「ゲシュタルト」という言葉について説明します。「ゲシュタルト」はドイツ語で、“gestalt”と表記します。「形状」という意味の語源から生まれた言葉です。そこから「何らかの一体的な構造を持ったまとまり」という意味を持つ言葉として知られて今日に至ります。

一度、同じ1文字の漢字を30秒近くじっと見つめ続けてみてください。その結果、目にした感じが目の前でバラバラになっていくような感覚を覚える方が2人に1人の割合とされています。実際に試してみた皆様はいかがでしょうか。つまり、これこそが「ゲシュタルト崩壊」の代表例です。

ゲシュタルト組織開発とは?

ゲシュタルト療法、OD、そして一般システム理論の考え方を取り入れた組織を改善するためのアプローチです。

今回取り上げるこの「ゲシュタルト組織開発(OD)」とは、組織における人的なプロセスに対する取り組みによって組織における健全性や効率性、効力性を向上させるための実践を指します。ゲシュタルト組織開発は何らかの実践にプラスとなる手段と理論の組み合わせとして考えられ、その定義は一概には言えません。

少し前述したようにゲシュタルトは日本ではまだ広く紹介されておらず、日本の組織コンサルタントでも知らない方が大半です。とはいうものの、これからゲシュタル組織開発が日本で浸透していく展開は十分に考えられます。

これらを踏まえ、ゲシュタルト組織開発について知っておきたい特徴を全4項目についてご紹介していきます。いずれもゲシュタルト組織開発を理解するためには必要な知識ですから、ぜひ関心を持って読み進めてみてください。

ゲシュタルト組織開発が持つ代表的な特徴

すでに少し触れましたが、実践を通じて効果を得たいという方にとっては最低限理解しておきたい特徴があります。ここではこの代表的な特徴をピックアップしてご説明していきます。この内容はいずれもゲシュタルト心理学や組織開発の分野で広く支持されている内容です。

目標は効率的かつ健全な組織作り

組織開発の特徴を4項目に分けてお伝えしますが、これらはいずれも「いかに組織を効果的に働かせ、かつ持続できるか」を目標としています。

この4つの項目とは「行動科学の見識を活用すること」、「組織における健全性と効果性を向上すること」、「ターゲットを組織に置けるプロセスに設定すること」、そして「計画性を持った働きかけを実践であること」です。

このように分けてご紹介してみるだけで、組織の効率性を向上するための手段として「中心に働きかける」というアプローチが基本となっていることが明確に感じられるのではないでしょうか。

目的は同じでも対象は複数

組織を一部でなく全体的に健全性や効率化を高めるための効果性や健全性が高まることが目標ではありますが、その対象の幅はかなり広いです。組織全体を対象としているケースもありますが、営業本部や広報課といったグループ間を対象としたケースの顧客を対象にした絵レベルの場合もあれば、個人レベルの場合もあります。

さらに言うと、個々人の日常生活の中で体験する出来事も組織における物事に対する理解でもそこに違いはないと考える点もゲシュタルト組織開発の特徴です。

ゲシュタルト組織開発のサイクルを形成する3大原理

ここからはゲシュタルト組織開発を行動に移すために大きな意味を持つものばかりです。これら3つの原理について順にご説明します。まずは「経験のサイクルとユニット・オブ・ワーク(unit of work)」です。

ユニット・オブ・ワークは4つのステップで形成されています。

  • 「今起きていることへの査定(assessing what is)」
  • 「何を注視するべきかの選択(choosing what to attend to)」
  • 「選択の実行(actingon the choice)」
  • 「取り組みの終了(closing out the activity)」

このようなステップでサイクルが形成されています。

組織内の問題を変える取り組みがされていても、関係している社員が問題意識を抱いていなければ理想的な変化にはつながりません。

変化できる可能性が生まれるためには問題に対する気付きが高まる中で、同じく高まるエネルギーによって問題意識が高まっていない状態で変革に向けた取り組みを実践する必要があります。問題に対する気づきが高まり、そこからエネルギーが高まって起こすアクションによって高いコンタクトが起こり、大きな変化が生まれる可能性が出てくるのです。

そして、次のステップは「経験のサイクル」です。このサイクルの実践によってセッションが始まってから終わりを迎えます。

ユース・オブ・セルフ(use of self)とプレゼンス(presence)

「ユース・オブ・セ ルフ」とは、他者に影響を与えていくために自らの価値観や感情、等を参考にして実際に動くことや態度を指します。「今」とか「ここ」に対して自身が持っている今日の価値観やそこで生まれた感情、観察結果等から得た気付きを活用する姿勢です。

そして、このユース・オブ・セルフが最も強い力を持つために、コンサルタントがクライアントとのコミュニケーションに集中して自身のアイデアや感情を伝える可能性もあります。このクライアントに刺激を与えて鼓舞することが「プレゼンス」です。

抵抗(resistance)の心がけ

組織が今の環境を変革する場合、反対する人々が生まれる場合も考えられます。そこでこの反対の力を無視した場合、反対する姿勢に対して「抵抗」という偏見を持つとされました。

マネージャー等の組織開発の実践者に与えられている権威やパワーがいずれの組織やシステムにもまんべんなく配分されれば、そこに部下が反対する権利が自然と生まれる環境になります。こうなれば部下が上司に対して反対の姿勢を示せるようになります。

この反対意見を表明する人財との力関係をどのように認知するかは、部下からの反対の姿勢に対してマイナスのイメージとして悪いラベルが貼られる確率を左右します。

ちなみに、この抵抗が生じるレベルは「情報・感情から生まれる反応・信頼感」と大きく3つに分けられます。情報不足が引き金となる混乱や抵抗、変革が原因の感情的な反応、そして変革を推進するパワーに対する不信感による反対の反応です。

つまり、組織を変革するために大切な要因となる「抵抗」についての見落としをきちんと立てることもゲシュタルト組織開発においては非常に重要ということです。

まとめ

組織開発コンサルタントという肩書きの人財が求められるようになっている今日において、ここでご紹介した4大原理はいずれもゲシュタルト組織開発をいざ現場で実践するためには知っておきたい必要不可欠な原理です。

すでに組織開発に関わる部門にいながら知識を得る段階を持たなかったという方も知っておいて損はない用語として、ぜひ参考にして実践してみてくださいね。

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